マウスピース矯正において歯を削る理由とは?歯を削る方法も解説!
ブログこんにちは。札幌市北区の歯科・小児歯科・歯科口腔外科・矯正歯科「太平歯科医院」です。
マウスピース矯正で治療をする際、歯の側面を削る処置をすることがあります。健康な歯を削ることに抵抗を感じたり、痛みが心配だったりする方は多いでしょう。
歯を削る処置は、歯をきれいに並べるスペースを確保するために行います。見た目や歯の機能に問題がない程度削るだけなので、むし歯治療のときに感じるような痛みはほとんどありません。
一度削った歯は元に戻らないので、歯を削ることのメリット・デメリットを正しく理解し、納得した上で治療を受けることが大切です。
この記事では、マウスピース矯正で歯を削る理由や方法、メリット・デメリットについて解説します。治療を検討している方はぜひ参考にしてください。
マウスピース矯正において歯を削る理由
マウスピース矯正で歯を削る理由は、以下のとおりです。
・歯を並べるスペースを確保する
・歯のサイズやバランスを調整する
・ブラックトライアングルを解消する
・後戻りを防止する
見た目や治療の効果を最大限に引き出すために、歯を削る処置を行います。それぞれ詳しく確認しましょう。
歯を並べるスペースを確保する
最も大きな目的は、歯がきれいに並ぶスペースを確保することです。抜歯するほどではなくても、綺麗に歯を並べるにはスペースが足りない方は多いです。
抜歯によって得られるスペースは1本あたり7〜8mmですが、7mm以下のスペースが必要な場合は歯を削ることがあります。
歯のサイズやバランスを調整する
歯のサイズやバランスを調整するために歯を削ることもあります。上下左右の歯と比べてバランスが悪い場合に、歯を削って見た目をよくしたり噛み合わせを整えたりします。
ブラックトライアングルを解消する
歯と歯の間と歯肉に囲まれた部分に、ブラックトライアングルという隙間が生じることがあります。歯は根本に向かって細くなっているので、特に歯茎が下がるとブラックトライアングルが目立ちます。
歯の側面を削って長方形に近づけ、矯正治療で隙間を埋めれば、ブラックトライアングルを解消できることがあるのです。
後戻りを防止する
最後に、矯正後の後戻りを防ぐ目的で歯を削ることがあります。上述しましたが、歯は根本に向かって細くなっているので歯と歯は点で接しています。接している部分を点から面にすることで、摩擦が大きくなり後戻りを防ぐことができると考えられています。
マウスピース矯正で歯を削るメリット
マウスピース矯正で歯を削るメリットは、以下のとおりです。
・抜歯をせずに治療できる
・上下左右の歯の形やサイズを整えることができる
・理想の仕上がりに近づける
・歯が後戻りするのを防ぐ
歯がきれいに並ぶために必要なスペースがわずかである場合、抜歯を回避できるのは大きなメリットです。むし歯や歯周病のない健康な歯を抜歯することに抵抗がある方は多いため、精神的な負担を減らすことにもつながるでしょう。
理由としても触れましたが、歯を削ることで歯の形やサイズを整えられるので、歯列全体のバランスも整うでしょう。歯の形や大きさのバランスを整えると、見た目が美しくなるだけでなく、上下の歯がよりしっかりと噛み合うようになります。
また、スペースを確保しないまま無理に歯を並べると、前歯が前方に傾いたり押し出されたりすることがあります。出っ歯のような状態になるので、歯並びは良くなっても仕上がりに満足できず後悔するかもしれません。
歯を削って十分なスペースを確保することで、前歯の突出を防ぎ理想の仕上がりに近づけることができます。
歯を削ることで歯と歯の接する面を増やせば摩擦が大きくなるので、矯正後の後戻りが少なくなることもメリットでしょう。しっかり計画を立てて無駄なく削れば、マウスピース矯正の効果を最大限に発揮できるようになります。
マウスピース矯正で歯を削るデメリット
マウスピース矯正で歯を削るデメリットは、以下のとおりです。
・健康な歯を削らなければならない
・処置に痛みや出血を伴うことがある
・確保できるスペースが限られている
健康な歯を削ることに抵抗を感じる方は多いです。歯を削ることで、知覚過敏のような症状が出ることを心配する方もいるでしょう。
マウスピース矯正で削るのは、歯の表面を覆うエナメル質です。エナメル質には神経が通っておらず、削るのはごくわずかな量なので、虫歯や知覚過敏のリスクが高くなることはないと考えられています。
削ることで歯と歯の間に隙間があく、いわゆるすきっ歯の状態になることを心配される方もいるでしょう。こちらも、マウスピース矯正で隙間がないように歯を並べるため心配はいりません。
マウスピース矯正のために歯を削る場合は、痛みや出血が伴うことはほとんどありませんが、歯茎の状態によっては一時的に出血するかもしれません。歯を削るときの振動に違和感を覚える方もいます。
しかし、出血や違和感は処置が終わればすぐになくなるので問題ありません。
歯を削ることで確保できるスペースはわずかであることもデメリットとして挙げられます。歯並びの状態や顎の大きさを考慮すると、歯を削る処置だけでは十分なスペースを確保できない場合があります。この場合は、抜歯を検討することになるでしょう。
どのようにして歯を削る?
実際にどのような方法で歯を削るのでしょうか。また、矯正治療のどの段階で歯を削るのでしょうか。
歯を削る処置は、隙間を測定しながら少しずつ慎重に行います。むし歯や着色を防ぐために表面をなめらかにすることも大切です。
歯を削るタイミングは、目的によって異なることも知っておきましょう。ここでは、歯を削る方法とタイミングについて詳しく解説します。
ディスキング(IPR)の方法と手順
歯の側面を削る処置のことを、ディスキング(IPR)といいます。まずは、ディスキング前の歯と歯の間の隙間を測定します。測定後、専用のヤスリのような道具で歯の側面を少しずつ削ります。
ドリルやエアータービンのような器具を使用することはなく、隙間を確認しながら慎重に進めていきます。ある程度削ったら、再度歯と歯の間の隙間を測定します。
計画していたスペースを確保できたら、ヤスリで削った部分を研磨し表面をなめらかにします。ヤスリで削ったままだと、エナメル質の表面はザラザラしていています。この状態だと着色やプラークが付着する原因となり、むし歯のリスクが高まるため表面をなめらかにするのです。
歯を削るタイミング
マウスピース矯正のどのタイミングで歯を削るのか、疑問に思った方もいるでしょう。タイミングは歯を削る目的によって異なります。
歯を並べるスペースを確保することが目的の場合は、矯正治療を開始する前、もしくは開始後の早い段階で歯を削ります。歯のサイズや形を調節するための場合は、矯正治療の後期に歯を削ることもあるでしょう。
まとめ
今回は、マウスピース矯正において歯を削る理由と方法について詳しく解説しました。
歯を削ることをネガティブに捉える方は多いですが、歯を削ることでマウスピース矯正の仕上がりをより理想に近づけることができます。歯を削ることでむし歯になりやすくなったり、しみるようになったりすることはありません。出血や痛みを感じることもないでしょう。
歯を並べるスペースが不足しているとき、抜歯ではなく歯を削ることで対応できれば、患者さまの身体的負担と心理的負担を大幅に減らすことができます。矯正治療の仕上がりを理想に近づけるために、歯を削る理由と方法を正しく理解し前向きに検討してください。
マウスピース矯正を検討されている方は、札幌市北区の歯科・小児歯科・歯科口腔外科・矯正歯科「太平歯科医院」にお気軽にご相談ください。