歯ぎしりの癖がある方がマウスピース矯正をする場合の注意点を解説!
ブログこんにちは。札幌市北区の歯科・小児歯科・歯科口腔外科・矯正歯科「太平歯科医院」です。
睡眠中に無意識に歯を擦り合わせたり、日中に強く歯を食いしばったり、歯ぎしりや食いしばりをする方は少なくありません。ストレスや睡眠障害など、様々な原因によって引き起こされます。
特に夜間に発生する歯ぎしりは、顎や歯に過大な圧力をかけます。歯の破損やすり減りといったさまざまなトラブルにつながるでしょう。歯ぎしりの問題を抱える方がマウスピース矯正を検討する際には、これらのリスクを踏まえて適切な対策を講じることが不可欠です。
この記事では、歯ぎしりの癖がある方がマウスピース矯正を行う場合の注意点について解説します。歯ぎしりの原因から、マウスピース矯正におけるリスク、そして矯正中における適切なケア方法までご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
歯ぎしりとは?
歯ぎしりは、歯を強くこすり合わせたり、噛みしめたりする行動を指します。睡眠中に特に多く見られ、昼間、特に集中しているときやストレスを感じている時にも発生することがあります。
人間の噛みしめる力は平均して70kg程度と言われていますが、睡眠中の歯ぎしりでは、それが何倍にも増すことが報告されており、500kg以上の力がかかるとも言われています。この強い力は、歯や顎に様々な影響を及ぼすのです。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりは多くの人が経験する一方で、根本的な原因は一人ひとり異なります。複数の要因が絡み合っていることもあるでしょう。
歯ぎしりを引き起こす主な原因は、以下のとおりです。
ストレス
現代社会の忙しさは、人々に多大なストレスを与えています。ストレスは心身の健康にさまざまな影響を及ぼしますが、歯ぎしりの原因になります。
ストレスが高まると、人は無意識のうちにそれを発散しようとします。その結果、睡眠中や集中しているときに、無意識に歯を強く擦り合わせたり噛みしめたりするのです。
また、不安や緊張、怒りなどの感情も、歯ぎしりを促す要因として知られています。
睡眠障害
睡眠障害、特に睡眠時無呼吸症候群(SAS)も、歯ぎしりの重要な原因の一つです。睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中の呼吸が一時的に停止する病態を指します。
この状態が繰り返されると睡眠の質が低下するでしょう。睡眠が浅くなると、歯ぎしりを引き起こしやすくなると考えられています。
噛み合わせの問題
歯並びや噛み合わせの問題も、歯ぎしりの原因となり得ます。不正咬合や顎の位置の異常は噛み合わせのバランスを崩し、無意識のうちにそのバランスを整えようとして歯ぎしりが発生することがあります。
身体的要因
耳鳴りや顎関節症といった身体的な問題も、歯ぎしりを引き起こす要因として挙げられます。これらの症状は、顎周辺の筋肉の緊張や疲労を引き起こし、歯ぎしりにつながるのです。
生活習慣
カフェインの過剰摂取や飲酒、喫煙などの生活習慣も歯ぎしりに影響します。これらは睡眠の質を低下させ、歯ぎしりを引き起こすのです。
また、不規則な生活リズムや睡眠不足も、ストレスの一因となり歯ぎしりを引き起こします。
薬剤の副作用
一部の薬剤、特に抗うつ薬や精神安定剤などは、副作用として歯ぎしりを引き起こすことがあります。これらの薬剤による神経系への影響が歯ぎしりの誘因となるケースがあるため、服用中に歯ぎしりが始まった場合は医師に相談しましょう。
歯ぎしりが顎や歯に及ぼす影響
歯ぎしりの影響は決して軽視できるものではありません。特に、長期間にわたる歯ぎしりは、顎や歯に負担をかけ、多くの問題を引き起こす可能性があります。
ここでは、歯ぎしりが顎や歯に及ぼす主な影響について詳しく解説します。
歯の摩耗と破損
歯ぎしりや食いしばりによって歯にかかる圧力は非常に大きいです。その結果、歯のエナメル質が徐々に摩耗し、最終的には破損することがあります。
摩耗した歯は敏感になるので、冷たい飲食物や甘いものを摂取した時に痛んだりしみたりするようになるでしょう。さらに、歯の形が変わることで噛み合わせにも影響を及ぼし、食べにくくなったり他の歯へ負担をかけたりするケースもあります。
顎関節症
顎関節は、開口や咀嚼などの動作に関わる重要な関節です。歯ぎしりや食いしばりは、顎関節に大きな圧力をかけ続けるため、顎関節症を引き起こす原因の一つとなります。
顎関節症の症状には、顎の痛みやこわばり、開口障害、顎関節の異音(カクカク音やゴリゴリ音)などがあります。これらの症状は日常生活に大きな影響を及ぼし、治療が必要となることも少なくありません。
歯周病の発生・悪化
歯ぎしりや食いしばりによる過度な力は、歯周組織にも悪影響を及ぼします。これにより、歯周病が発生したり悪化したりする可能性があります。
歯周病は、歯を支える骨や歯肉に炎症を起こす病気で、進行すると歯が抜け落ちる原因となります。
歯ぎしりの癖がある方がマウスピース矯正をする場合の注意点
マウスピース矯正は、見た目が目立たないことや取り外しが可能などのメリットから、多くの方に選ばれています。
しかし、歯ぎしりの癖がある方がマウスピース矯正を選択する際には、いくつかの注意点があります。これらを理解することで、治療中のトラブルを避け、矯正治療を成功に導くことが可能になるでしょう。
マウスピースが割れることがある
歯ぎしりは、非常に強い力を歯に加えます。マウスピース矯正中に歯ぎしりをしてしまうと、マウスピースが破損する恐れがあるでしょう。
歯ぎしりの力は通常の噛み合わせの力よりもはるかに強力であるため、マウスピースが割れたり変形したりするのです。マウスピースを新しく作り直さなければならない場合は、治療期間や費用が増加するでしょう。
うまく治療が進まないことがある
歯ぎしりによる過度な力は、マウスピースによる矯正力と干渉する可能性があります。歯を移動させたい方向に力を加えても、歯ぎしりによる力がかかってうまく歯が移動しないことがあるのです。また、予定外の位置に歯が移動するリスクもあるでしょう。
定期検診を怠らない
マウスピース矯正中に歯ぎしりをしてしまう場合、定期的なフォローアップが特に重要です。治療中は定期的に歯科医院を受診して、歯ぎしりによるマウスピースの損傷や予期しない歯の動きがないか注意深く観察してもらいましょう。
歯ぎしりでマウスピースが割れたときは
歯ぎしりによってマウスピースが割れたり変形したりした場合、治療の遅延や追加の治療費が発生する原因となるので早期に対応しなければなりません。歯ぎしりでマウスピースが割れた際の対処法は、以下の通りです。
すぐに使用を中止する
マウスピースが割れたり変形したことに気づいたら、すぐに使用を中止してください。損傷したマウスピースを使用し続けると、歯や歯茎、口内粘膜を傷つける可能性があります。
また、適切な矯正力がかからないことで、予期せぬ方向に歯が移動するなど矯正治療に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
歯科医師に連絡する
損傷したマウスピースを持参し、できるだけ早く歯科医師の診察を受けてください。マウスピースの状態を確認し、修理や交換が必要かどうかを判断してもらいましょう。
歯ぎしりを改善する方法
歯ぎしりを改善するための有効な手段をいくつかご紹介します。
ストレスを解消する
ストレスは歯ぎしりの大きな原因の一つです。日々の生活の中で蓄積されたストレスが、睡眠中に無意識のうちに表れて歯ぎしりにつながることがあります。
したがって、ストレスを効果的に管理しリラックスする時間を設けることが、歯ぎしりの改善に繋がります。瞑想、ヨガ、軽い運動、または趣味の時間を持つことで、日々のストレスを軽減しましょう。
睡眠環境を整える
睡眠環境を見直すことも、歯ぎしりを改善する上で重要です。質の高い睡眠を確保するために、寝室は静かで暗く適切な温度に保つことが必要です。
また、快適な寝具を選び、寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用を避けるようにしましょう。
咬筋をマッサージする
歯ぎしりは、顎の筋肉、特に咬筋の過剰な緊張が原因で起こることがあります。この筋肉の緊張を和らげるために、就寝前にマッサージするとよいでしょう。
顎周りの筋肉を意識的にリラックスさせることで、歯ぎしりを軽減させることができます。
医療機関に相談する
改善策を試しても歯ぎしりが止まらない場合は、歯科医師や医師に相談してみましょう。歯ぎしりが睡眠障害や他の健康問題の兆候であることもあります。
まとめ
歯ぎしりは、多くの人が無意識のうちに行っている行動でありその原因は多岐にわたります。ストレス、睡眠障害、不正咬合など様々な要因が絡み合い、歯や顎に悪影響を及ぼすことがあるのです。
特に、歯ぎしりの癖がある方がマウスピース矯正を考える際には、そのリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。
注意点を踏まえて適切なケアを心がけることで、歯ぎしりの癖がある方でもマウスピース矯正を成功させることが可能です。また、歯ぎしりを根本から改善するために、ストレスを解消したり、睡眠環境を改善したり、日常生活も気をつけて送りましょう。
マウスピース矯正を検討されている方は、札幌市北区の歯科・小児歯科・歯科口腔外科・矯正歯科「太平歯科医院」にお気軽にご相談ください。