ワイヤー矯正で痛みを感じるタイミングと対処法を徹底解説!
ブログこんにちは。札幌市北区の歯科・小児歯科・歯科口腔外科・矯正歯科「太平歯科医院」です。
ワイヤー矯正で痛みを感じる主なタイミングは、歯が動いているとき、矯正装置が粘膜に当たっているとき、食べ物を噛むときです。歯科矯正では歯槽骨の吸収と再生によって歯を動かしますが、吸収のタイミングで痛みを感じることがあります。
今回は、ワイヤー矯正で痛みを感じるタイミングと痛みを感じる理由、痛みへの対処法について詳しく解説します。
ワイヤー矯正で歯が動く仕組み
ワイヤー矯正は、歯の位置を調整して歯列を整える治療法です。歯と歯を支える骨と、歯と骨の間に存在する組織の相互作用によって歯を移動させます。
歯を支えているのは、歯槽骨という骨です。歯と歯槽骨の間には、歯根膜というやわらかい組織が存在し、クッションの役割を果たしています。ワイヤー矯正では、矯正装置から歯根膜に力をかけるのです。
力を加えると、歯を動かしたい方向の歯根膜は圧迫されて縮み、反対側の歯根膜は引き伸ばされます。歯根膜が縮んだ側の歯槽骨は吸収され、歯が動くための空間が生まれます。反対側で引き伸ばされた歯根膜の周囲の歯槽骨は新たに再生され、移動してきた歯を支えるのです。
一連のプロセスを繰り返すことで、歯は徐々に移動します。矯正治療は歯槽骨の吸収と再生に合わせて進める必要があるため、多くの時間が必要なのです。
ワイヤー矯正で痛みを感じるタイミング
ワイヤー矯正で痛みを感じる主なタイミングは、歯が動いているとき、矯正装置が粘膜に当たっているとき、食べ物を噛むときの3つです。
それぞれ詳しく解説します。
歯が動いているとき
基本的に歯は骨の中にしっかりと固定されており、軽い圧力では動きません。矯正装置を用いて一定の負荷を継続的にかけることで、少しずつ歯の位置を変えます。
前述したように、矯正装置によって歯が骨に押し付けられると、歯根膜という組織はもとの状態に戻ろうと働きます。このとき、押し付けられた側の骨が吸収され、反対側では新たな骨が形成されるのです。
骨が吸収される際に、体内で痛みを引き起こす物質が分泌されます。そのため、矯正器具を調整した数時間後から痛みが始まるのです。具体的には、装置を装着または調整したあと3〜6時間ほどで痛みが生じ、およそ36時間後にピークを迎えます。そのあと、痛みは徐々に和らぎ、1週間ほどで消えることが多いです。
痛みの感じ方は人それぞれですが、ほとんどの人が歯が動く痛みを経験します。強い痛みに耐えられない場合は、医師のもとでワイヤーの調整を行い、痛みを緩和することも可能です。
矯正装置が粘膜に当たっているとき
歯列矯正治療では、歯にワイヤーやブラケットを装着します。歯に装着した矯正器具が口の内側や舌に接触することで、痛みを引き起こすことがあるでしょう。装置が口腔内の組織を摩擦して炎症を起こすため、痛みを引き起こします。一般的に3~4日が痛みのピークで、約1週間で自然に治ることが多いです。
楽器演奏やスポーツなど、特定の活動を行う際にも矯正器具が口内に触れ、痛みを感じる可能性があります。例えば、吹奏楽の楽器を演奏するとき、矯正器具が唇に触れると痛みを感じるでしょう。スポーツでは、ボールが口に当たると器具によって唇や粘膜が傷つくこともあるでしょう。
また、治療中はワイヤーが強く締まることや、歯が移動したことで、ワイヤーが緩んで外れることがあります。金具やワイヤーによって口内が傷つく可能性があるため、早急に歯科医院で処置を受けましょう。
食べ物を噛むとき
矯正装置の調整直後や、歯が移動を始めたときに痛みが生じやすいことを説明しました。
それ以外では、歯が移動し始めた時期に硬い食べ物を食べることで、歯に余計に圧力がかかり痛みが増すことがあります。具体的には、せんべいやナッツ類などの硬いもの、肉などよく噛む必要のある食べ物を口にすると、痛みが増す可能性があります。
ワイヤー矯正治療中は、食事の内容にも注意しましょう。硬い食材を避け、やわらかい食材を選ぶことで、痛みを軽減できます。痛みが強い場合や長期的に続く場合は、医療機関に相談してください。
ワイヤー矯正で痛みを感じるときの対処法
ワイヤー矯正で痛みを感じるときの応急処置として、患部を冷やす、痛み止めを飲むなどの方法があります。また、歯科医院を受診して矯正器具を調整してもらうことも効果的です。
自己判断で対処すると予期しない問題が発生し、矯正治療に悪影響を及ぼす可能性もあります。痛みについての心配や、治療に対する疑問・不明点がある場合は、遠慮せずに担当の歯科医師に伝えましょう。
ワイヤー矯正で痛みを感じるときの対処法は、以下のとおりです。
患部を冷やす
ワイヤー矯正中に歯の痛みが強くなったときは、保冷剤や氷を薄い布やガーゼで包んで患部に当てると、痛みが和らぐことがあります。特に入浴後や就寝前など、体が温まっているときに効果的です。
しかし、過度に冷やすことで矯正力が低下する可能性があるため注意が必要です。痛みを予防したいからといって、事前に長時間冷やし続けることは避けてください。痛みが強く感じられるときの応急処置として実施しましょう。冷やす行為は、短期的な痛みの緩和に有効であり、長期的な痛みの管理には適さないことを理解することが重要です。
痛み止めを飲む
日常生活に支障をきたすほど痛みが強い場合は、鎮痛剤を服用してもよいでしょう。
ただし、鎮痛剤の種類によっては歯の動きを遅らせる可能性があるため、注意しなければなりません。鎮痛剤の服用を検討する場合は、必ず担当の歯科医師に相談してください。適切な鎮痛剤と適切な量を歯科医師に指導してもらい、治療への影響を最小限に抑えましょう。
硬い食べ物を避ける
ワイヤー矯正中は、歯に少し触れるだけでも痛みを感じることがあります。前歯に力が入りにくく、物を噛み切るのが難しくなることもあるでしょう。痛みが強い場合は、うまく噛めなくても食べられる食べ物を選ぶことが重要です。例えば、蒸しパンやおかゆなどが適しています。
しかし、食事内容が偏ると栄養バランスが崩れ、結果として歯の動きが効率よく行われない可能性があります。やわらかい食べ物でも栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
矯正用ワックスを使用する
ワイヤーやブラケットが頬や舌に当たって痛みを感じる場合、矯正用ワックスを利用して保護することが有効です。ワイヤーが肌に刺さるなどの痛みは、様子を見ても治まることが少ないです。放置すると、口内炎や痛みの増強につながる可能性があります。
矯正用ワックスは、軽く丸めてから痛みを感じる部分のワイヤーやブラケットに押し付けて使用します。食事や歯磨きで外れてしまうため、痛みが続く場合は何度もワックスをつけなおす必要があるでしょう。矯正用ワックスは、装置と口の内側の摩擦を減らし、痛みを緩和する役割を果たします。
ワイヤーをカットする
ワイヤー矯正中は歯が移動することで、ワイヤーが後ろから徐々に出てくることがあります。治療初期に、歯並びの凸凹を整える際によく起こる現象です。ワイヤーがわずかに出ている程度であれば、矯正用ワックスを用いて飛び出たワイヤーを覆うことで対処可能です。
しかし、ワイヤーが長く出ている場合は、ワイヤーを切る必要があります。自分でニッパーなどを使用して切る人もいますが、誤って口内を傷つける可能性が高いため必ず担当の歯科医師に相談してください。ワイヤーを切るだけの作業なので、治療時間は5分ほどで終わります。ワイヤーが刺さって痛い場合は、我慢せず早めに歯科医院に連絡しましょう。
矯正装置を調整する
さまざまな対処法を試しても痛みが軽減されない場合や、痛みによる不安が大きい場合は、無理をせず歯科医師に相談することが大切です。ワイヤーの調整を行うことで、痛みを軽減できるでしょう。
まとめ
ワイヤー矯正で痛みを感じる主なタイミングは、歯が動いているとき、矯正装置が粘膜に当たっているとき、食べ物を噛むときです。
歯が動く痛みは、1週間ほどで治まることが多いです。あまり歯を刺激しないよう硬い食べ物を避けて過ごしましょう。痛みが1週間以上続く場合や、生活に支障をきたすほど痛みが強い場合は、矯正器具の調整が必要なこともあります。遠慮せずに歯科医院に連絡しましょう。
また、矯正装置が粘膜に当たって痛い場合は、矯正用のワックスを使用することで痛みを軽減できます。矯正用ワックスで対応できない場合は、ワイヤーをカットするなどの調整が必要なので、早めに歯科医師に相談してください。
歯列矯正は長期間にわたる治療です。ワイヤー矯正を効果的に進め、健康的な口腔状態を保つためには、歯科医師とのコミュニケーションが欠かせません。気になることや不安なことは我慢せずに相談し、納得してワイヤー矯正を進めましょう。
ワイヤー矯正を検討されている方は、札幌市北区の歯科・小児歯科・歯科口腔外科・矯正歯科「太平歯科医院」にお気軽にご相談ください。