指しゃぶりをすると歯並びが悪くなる?指しゃぶりをやめさせる方法
ブログこんにちは。札幌市北区の歯科・小児歯科・歯科口腔外科・矯正歯科「太平歯科医院」です。
こどものよくある行為のひとつが指しゃぶりですが、特に気にせず放っておく方も多いでしょう。
その一方で「あんなに指をしゃぶって歯並びに影響は出ないの?」と心配になる方もいるのではないでしょうか。
今回は、実際に指しゃぶりが歯並びに影響を与えることはあるのか具体的に解説します。こどもが指しゃぶりをする理由や、指しゃぶりをやめさせる方法も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
指しゃぶりをすると歯並びが悪くなる?
指しゃぶりをすると歯並びが悪くなるのでしょうか。
以下に詳しく解説します。
2歳までは歯並びに影響が出ることは少ない
結論からいうと、生後数か月のこどもが指しゃぶりをしていても歯並びが悪くなるということはあまり考えられません。なぜなら、生後数か月の段階では歯や顎が発達していないからです。
歯がない状態で指しゃぶりをしても、歯並びに影響が出ないというのは当然でしょう。また、奥歯がすべて生えそろうのは2歳半以降になるため、2歳までは指しゃぶりをしても問題ありません。
2歳半以降の指しゃぶりは歯並びに影響が出る可能性がある
2歳半〜3歳の間に奥歯がすべて生えそろうため、2歳までに指しゃぶりをやめさせることが望ましいです。もし、2歳半以降も指しゃぶりをやめられない場合、徐々に前歯が前に傾斜し始め、歯並びが悪くなります。
また、指しゃぶりをするときは、指を吸い込んで頬の筋肉を収縮させるので、歯並びのアーチが狭くなります。いわゆるV字歯列弓といわれる形であり、歯列が縦長のV字になる状態のことです。
V字歯列弓になると、歯がきれいに並ぶスペースがなくなるため、出っ歯などの不正咬合になりやすいです。また、口元が突き出ている印象になるため、人によってはコンプレックスになるでしょう。
3歳を過ぎても指しゃぶりが続く場合、噛み合わせも変化してきます。正常な場合は、上下の歯を噛み合わせたときに歯と歯の間にすき間ができません。
しかし、指しゃぶりが続いて噛み合わせが変化すると上下の歯がきちんと噛み合わず、歯と歯の間にすき間ができる開咬(かいこう)の状態になるのです。
開咬になったからといってすぐに健康上の問題が生じるわけではありませんが、力を入れて閉じても歯と歯の間にすき間が空いているため、しっかりと食べ物を噛み切れなくなります。
こどもが指しゃぶりをする理由
こどもの指しゃぶりは歯並びに影響を及ぼすケースがあるため、影響が及ぶ前にやめさせる必要があります。では、そもそもなぜこどもは指しゃぶりをするのでしょうか。
以下に詳しく解説します。
いわゆる原始反射のひとつであるため
指しゃぶりはこどもの原始反射のひとつといわれています。
まず、生まれたばかりのこどもに見られる3つの反射についてご説明しましょう。
探索反射
探索反射とは、唇に何かが触れると、触れたものを探すように首を回すことです。生後すぐに母乳が飲めるよう、備わった反射能力といえます。
捕捉反射
捕捉反射とは、唇に何かが触れると、唇と舌を使って捉えるような仕草を見せることです。
吸啜反射
吸啜反射とは、口で指や乳首をくわえたとき、舌を動かして吸うことです。吸啜反射は指しゃぶりにつながるため、指しゃぶりが原始反射のひとつということがわかります。
気持ちを落ち着かせるため
指しゃぶりには気持ちを落ち着かせる効果があります。そのため、ストレスや不安から逃れたいという気持ちが指しゃぶりという行動に向かわせるのです。また、新しい環境に直面したとき、安心感を求めて指しゃぶりをするケースもあります。
こどもの指しゃぶりはやめさせたほうがいい?
「こどもの指しゃぶりが歯並びに影響するなら、すぐにでもやめさせるべき?」と考える方も多いでしょう。では、指しゃぶりはやめさせたほうがいいのでしょうか。
以下に詳しく解説します。
2歳までの指しゃぶりは容認してもよい
結論からいうと、生後〜2歳までの指しゃぶりは温かく見守りましょう。なぜなら、指しゃぶりは発達の過程で現れる現象のひとつだからです。
指しゃぶりは、指を目で見て動かし、口の中に入れる動作を意味します。この一連の動作により、手指の操作性や口内の触覚の発達が促されるのです。
また、こどもの指しゃぶりには気持ちを落ち着かせる効果があります。そのため、こどもから指しゃぶりを取り上げてしまうと、不安やストレスから逃れることが難しくなるのです。精神的な安定という観点からも、指しゃぶりをやめさせるべきではないでしょう。
3歳までにはやめさせたほうが無難
指しゃぶりは健全な発達のために必要な行為ですが、いつまでもやめられないようでは問題です。2歳半〜3歳の間に奥歯がすべて生えそろうため、3歳を過ぎても指しゃぶりが続く場合は歯並びに影響が出ます。
開咬や出っ歯になると見た目に大きく現れるため、奥歯が生えそろう前に指しゃぶりをやめさせたほうが無難でしょう。できるなら2歳半、遅くとも3歳になる前には指しゃぶりをやめていることが理想的です。
こどもの指しゃぶりをやめさせる方法
こどもの指しゃぶりを長らく放置することはよくありませんが「どうしたらやめさせられるの?」と疑問を感じている方も多いでしょう。無理をさせてはいけないため、その点では難しい問題かもしれません。
そこで、ここではこどもの指しゃぶりをやめさせる方法を5つご紹介しましょう。
言葉で説明する
指しゃぶりがなぜいけないことなのかを言葉で説明し、こどもに理解してもらいます。2歳になればある程度の言葉は理解できるため、きちんと説明することで納得してもらえるケースが多いです。
また、自分の言葉がなかなか響かないと感じる場合は、歯科医師や歯科衛生士に説明してもらうとよいでしょう。歯科医師や歯科衛生士に説明してもらうことで、事の重大さに気づく場合もあります。
やめる日を決める
指しゃぶりをやめる日を決めるのもよいでしょう。
具体的には、誕生日がおすすめです。誕生日をゴールとして設定し「この日でお指とさよならしようね」と継続して言い聞かせることで、こどもも心の準備ができるでしょう。
また、誕生日はこども自身が自覚する大きな節目であることから、指しゃぶりをやめるタイミングとしてベストだと感じてもらえます。
ご褒美をあげる
こどもが指しゃぶりをやめることができたら、ご褒美をあげるのもよいでしょう。
具体的には、こどもの好きなおかずを夕食に加えることなどが挙げられます。2~3歳のこどもが喜ぶご褒美はたくさんあるため、無理に高価なものを用意する必要はありません。
スキンシップを多くとる
こどもとスキンシップの機会をつくることで、指しゃぶりをしなくなるケースもあります。スキンシップの具体的な方法としては、手を使った遊びを楽しむことなどが挙げられます。
最初のうちは一時的に指しゃぶりをやめるだけだとしても、繰り返し遊んであげることで指しゃぶりの癖が治るケースも多いです。
物理的に指をブロックする
こどもがなかなか指しゃぶりをやめない場合、物理的に指をブロックするのもひとつの手段です。具体的には、手袋をつける・指サックをはめるなどが挙げられます。そのほか、サイズの大きいパジャマの袖口を縫い付けて指を隠す方法もあります。
まとめ
今回は、指しゃぶりと歯並びの関係について解説しました。指しゃぶりはこどもの健全な発達を促す大切な行為であるため、温かく見守りましょう。
ただし、2歳を過ぎて奥歯まで生えそろってからも指しゃぶりが続くようだと問題です。指しゃぶりをすると、上の前歯が前に、下の前歯がうしろに押されます。結果的に出っ歯になるケースもあることから、2歳半〜3歳までに指しゃぶりをやめさせたほうがよいでしょう。
指を無理やり口から離すことはぜず、指しゃぶりがいけないことを言葉で説明するなど、こどもが自発的に指しゃぶりをやめられるように工夫することが大切です。
小児矯正を検討されている方は、札幌市北区の歯科・小児歯科・歯科口腔外科・矯正歯科「太平歯科医院」にお気軽にご相談ください。